QBは1周目問題しか解いてはいけない理由

こんにちは、しめさばです。
以前書いたこの記事に予想以上の多くの反響がありました。

shimesaba-dr.hatenablog.jp


読んでくださった皆さん、ツイッターでシェアしてくださった皆さん、本当にありがとう ございました。

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さて、今回は前記事で取りあげたQBの解き方『QBは1周目問題だけを解こう!』について少し掘り下げて説明したいと思います。



前記事をまだご覧になってない方まずそちらをお読みください

shimesaba-dr.hatenablog.jp

初めの方に目次があるのでそこから『予備校各社レビュー → クエスチョンバンク』に飛ぶとスムー ズです


それではやっていきましょう




○ 2つの理由

まずは結論から。
エスチョンバンク(通称 QB)は『1周目問題しか解いてはいけない』理由は以下の2つです

・ 国家試験の傾向性
・ 学習スパンを出来るだけ短くするため

私はQBを律儀に全ての問題を解いて周回しようとしていたため、大きなロスをしてしまいました。
後輩の皆さんには私と同じミスをしないようにしていただきたいです。



まずは理由その1『国家試験の傾向性』から説明していきます。





○国家試験の傾向性

・そもそも1周目問題とは?

そもそも1周目問題とはなんでしょう? 『1周目に解くべき基礎的・平易な問題』でしょうか?

いやいや違います。

1周目問題は『近年5年分 + それ以前に出題された典型問題』によって構成されていま す。
つまり最近の問題が多いんですね。

国家試験対策においては、『より新しい問題』ほど『より学習効果が高い』です。
私のイメージとしては、直近の問題になるにつれて指数関数的に学習効果が高まっている 感じです。
この辺が『過去問研究3年分はマスト』と言われる所以ですね。

では、なぜ新しい問題の方が学習効果が高いのか、説明していきたいと思います。




・なぜ最近の問題ほど重要なのか

なぜ国家試験では最近の問題ほど、重要度が高まるのでしょうか? その答えは国家試験の傾向性にあります。

最近の医師国家試験が『臨床重視・実習重視である』ということはなんとなく皆さん知っ ていると思います。

しかしそれは具体的にどういうことなのでしょうか。 なんとなくわかるようで、よくわからないですよね。
というわけで最近の国家試験とそれ以前の国家試験(80~90回台)の出題傾向についてまと めてみました。


昔の国家試験(80回~90回台)
・病歴 → 診断 を問う問題
・疾患についての細かい知識を問う問題

最近の国家試験
・病歴から『鑑別を考えさせた上で』次に行う検査を選ばせる問題
・病歴から『診断をつけさせた上で』治療を複数選ばせる問題
・『老人とクスリ』『輸液』など実際の現場に則した問題


いかがでしょうか?


最近の問題の方が『より深く・思考力を問われる』内容であることがお分かりいただけるかと思います。
どちらかというと昔の問題は『クイズ大会』的な傾向があると私は思ってます。 (病歴からキーワードを見つけて早押しクイズ的な診断、教科書の隅に書いてある知識を 必死にひねり出す など)


今と昔で傾向が違うということは、今の問題を中心に解いた方が学習効率が良いのは自明ですね。


また、疾患の中にも流行り廃りがありまして、学会などでホットなトピックは出題されや すい傾向にあります。
逆に、以前はポピュラーだったが最近の臨床現場で見かけなくなった疾患はあまり出題さ れません。
そのほかに国家試験的にトピックな出題というのもありまして、 NPPVの適応に関する出題は110回 → 111回 → 112回(今年です)と3年連続で出題されました。


私はこれらを総合して『国家試験の傾向性』と呼んでいます。
予想される傾向に合致した良質な問題を解いていくことが合格には不可欠です。

理由その1『国家試験の傾向性』でした

次に理由その2『学習スパンを短くするため』です




○学習スパンを短くする

・学習スパンを短くする とは?
『1周目問題しか解いてはいけない』理由その2は 学習スパンをできるだけ短くしたいためです。


国家試験の勉強量は膨大です。
QBを律儀に全ての問題を解いていたら『X 放射線』を解き終わることには 『A 消化管』の内容なんて綺麗さっぱり忘れていることでしょう。 私はそうでした。


出版元のメディックメディア社によりますと1周目問題は全体の40%を占めているそうです。
すなわち、1周目問題だけを解くことによって『A 消化管』→『X 放射線』というスパン を 2倍以上に縮めることができるのです。(放射線QBを解く必要があるのか、という議論は 横に置いておきます)

これが理由その2『学習スパンを短くする』です。




前記事の忘却曲線の項にも書きましたが、国家試験勉強は絶え間ない復習の世界です。
人は一回だけでは覚えられません。覚えても忘れます。だから復習復習とにかく復習です。



学習スパンを短くすることによって

・一定時間内により多くの復習をできる(他の人が1周する間に2周できる)
・初めの方(『A 消化管』のこと)に学習したことを忘れないうちに復習を開始できる

という効果を望むことができます。




学習スパンを短くしたほうが良い理由はもう一つあります。
それは学習スケジュールの問題です。
国家試験で陥りやすい『学習スケジュールのミス』について解説していきます





・国試における学習スケジュール

ある1人の医学生がいました。 彼は5年生の秋頃からクエスチョンバンクを少しずつ解き始めました。



彼はちょっと勘違いをした気合いの入れ方をしていて 「周回しまくって、QBに載ってる問題は全部解けるようにするぞ!」と思っていました。
でも5年の間はポリクリもあり、テコムの臓器別講座も見なきゃだったのであんまり頑 張って解いてはおらず「6年生になったらバリバリやるぞ」と思っていました。



6年生になりました。彼の学校では4月から7月半ばまでクリクラがありました。
テコムの臓器別は無事に見終わりましたが、クリクラもそこそこ忙しかったのでクリクラが終わったらQBガチるぞ」と思っていました。
クリクラが終わり、夏休みになるとQBを頑張って解き始めました。
1周目問題もそうでない問題も頑張って解きました。



8月も半ばになる頃、彼は卒業試験の勉強をしなければいけないことに気がつきました。
彼の学校の卒業試験は9月から11月まで行われます。
過去問ゲーなので国試とはまた違った対策が必要となります。
せっかくテコムも見終わりQBに注力できると思ったのにまた別のタスクがのしかかって きたのです。


彼はQBと試験勉強を並行して、なんとか卒業試験をパスしました。



「これでやっとQBに集中できる。残り時間で周回プレイしまくって完璧にするぞ!」
そんな風に思っていた矢先、テコムの後期講座『TARGET』が開講しました。
『回数別の解説講座』も開設しました。模試も控えています。



「いまは11月......TARGETやって復習もして過去問3年分研究して必修対策して模試受けて模試の復習もして......」
「QBはなんとか一周終わらせたはいいけど5年生の時に解いた内容なんてなんにも覚えてない......でも2周目やる時間なんてない......」



さて、彼はどこでミスをしてしまったのでしょうか。


それは一番初めの段階「QBに載ってる問題は全部解けるようにするぞ!」です。
病院実習、予備校の臓器別、卒業試験、予備校の後期講座などが押し寄せてくる中で、 80回台、90回台もふくめたQBの問題を全て完璧にするというのは不可能に近いです。

初期の方針ミスとそれを修正できなかったのが『彼』のミスです。



今回登場してもらった『彼』は失敗ルートの私です。
現実の私は6年生の初めの段階で「ちょっとこれはやばいな」と思いQBは1周目問題だけを解き、最近の問題だけ回して行く方向に軌道修正を図りました。


・とにかく早く1周する。(もちろん1周目問題だけ)
・遅くとも夏までにはQBを1周する(できたら2周!)

国試におけるQBの学習方針はこれがベストだと思います。

そもそも国家試験の勉強はQBだけでは完結できません。
『サマライズ』や『TARGET』に代表される後期講座で、深みのある対策をする必要があります。(ちなみにサマライズ推しです)
後期講座が開講するまでにある程度の基礎を完成させておくことが重要なのです。





まとめ

QBは1周目問題しか解いてはいけない理由をまとめてみます


理由その1『国家試験の傾向性』
・新しい問題の方が学習効果が高いため
・臨床におけるトピックは連続で出題されやすいため
・国家試験におけるトピックは連続で出題されやすいため


理由その2『学習スパンを短くする』
・スパンが短いとより多くの復習ができるため
・忘れないうちに復習ができるため
・国家試験の学習スケジュールは非常にタイトであるため



参考になりましたでしょうか。

「ここがよくわかんねえ!」「これ間違ってるだろ!嘘ついてんじゃねえよ!」などなどありましたらTwitterまでご連絡いただければ幸いです。
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終わり